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::07.01   comment (0)


ちょっともうなんですかハガレンおもしろいんですけどどうして今まで見なかったんだ私のばか。
あ、どうもコンバンワ。
七月なうの私です。
たぶん皆さん七月なうですよね知ってます。

ヤバいもう大佐したたかすぎてホント嫌いとか思ってたのにホムンクルス美女やっつけるとこマジいけめんすぎてしんだ。
ホムンクルス美女よりも先に私が死んだ。
でもやっぱり好きになれないのは同族嫌悪ですねわかります。
マダオな中佐が好きだったのにマダオすぐ死んだ・・・
まだ10話なのにしんだ・・・
なんでマダオすぐ死んでしまうん・・・

と、いうわけでそんな鬱アニメ見てたらちょっと書きたくなったので瀬戸内というか長曾我部というか孫一投下です。
一回でいいから毛利←長曾我部←孫一が書きたかったんです。
マフィアかなんかの設定だと思ってください。
過去に人殺しまくってきた長曾我部と、一緒に闘ってたけど死んだ毛利と、そんな二人を見てきた孫一です。
あれ、この間は長曾我部が死んで今日は毛利か・・・最近死ネタばっかだなまあいいか。









狭いベッドの片側の一人分を空けて眠るようになったのはいつからだろうか。
明かりのない天井は月明かりだけが眩しい。
あの男との関係は、恋だとか愛だとか、そんな生易しい物ではなかったように思う。
汚い殺しのあとには必ずと言っていいほどあの華奢な体を手酷く抱いた。
激しい抗争のあとには、冷めない興奮をぶつけるように激しく抱き合った。
そこに生易しい愛の言葉などなかった。それでも、元就がいなくてはだめだと言うことには薄々気付いていた。

『セックスで得る快感は殺人の快感と同じだそうだ』
『へぇ。俺ァそんな理論的なことにゃ興味なんてねぇけどな』
『それだから貴様は痴れ者だと言うのだ』
『ハッ!散々人殺したあとに俺とヤッてるアンタも似たようなもんだろ?』

そうかも知れないな。
自嘲の溜め息を吐いて首に細い両腕を回しながらキスをねだってくるあの低い体温はもう傍らにはないのだ。
元就が死んでから、雨の夜は眠れなくなった。
殺しのあとでも、怪我を負った時も眠れるのに、雨の日だけはどうしてもダメだった。
雨が全ての気配を流していく、暗い夜だけはどうしても眠れない。
建て付けの悪い窓の隙間から流れ込む汚い港の匂いにも似た雨の匂いが、嗅ぎなれた金属臭のように元親の高い鼻梁の下でわだかまるのがどうにも耐えられなかった。
紛らわせるように女を部屋に呼び、忘れるために抱いて寝た。それこそ元就が嫌ったような汚い売女を。
そうでもしていないと、生きている実感さえ失ってしまいそうだった。


そして、今日はその隣に見知った女がいる。
明るい赤毛が元親に背を向けて静かに呼吸をしている。
しとしとと降り続く細い雨の音に混ざる静かな呼吸音が元親の耳朶に纏わりつく。
背も高いし、しなやかな筋肉のついたその体は間違いなく女の物だ。
いくら元就が細かったとは言っても、隣で眠る孫一の肩幅はそれよりも狭い。

「なぁ。」
「なんだ。」
「起きてたのか?」
「あぁ。」

背を向けたままの裸の背中に浮いた肩甲骨も、背骨も。
元就のそれとは違う線の細さで微かな月明かりに浮かび上がっている。

「お前、殺したヤツの顔、覚えてっか?」
「何人殺してきたと思ってる」
「じゃあ死んだ…、部下の顔は?」
「覚えてなどいない。不毛なだけだからな。」
「そうか」

黙り込んだ元親を、小さな衣擦れの音と共に孫一のアーモンド型の眸が振り返った。
哀れむような冷ややかな眸が元就に似ているのかもしれない。
暗闇の中で、ふとそんなことを思った。

「我らが生きている世界は、さっきまで隣を走っていた人間が次の瞬間には死体になっているような世界だ。」
「あぁ。わかってる。」
「あの男との間に何があったかは知らんが、いつまでもぐずぐず言っていてはお前も引き摺られることになるぞ。」
「そーかもな。」

”それでもいい”とは敢えて言わなかった。孫一もそれを知っている。
暗闇に元親のいかつい指先が伸びる。見た目の印象よりも白いその指先が、亡霊のようにぼんやりと闇に浮かび上がるのを、孫一は空恐ろしい気分を伴って眺める。
まるで死人のような白い手の甲だ。

「俺も、お前も死んでるのかもしれない。」
「バカなことを言うな。」
「毛利だけが…、生きてるのかも、しれない。」
「とんだ妄想だな、元親。」
「どっちにしろ、違う世界の住人になったってことには変わりねぇ。」

裏返した掌には拳銃の柄を握るためにできた豆が浮かんでいる。
数多の人間の血を吸った、人殺しの手だ。誰かを救う手ではない。
軽く握ったそれをもう一度開き、顔を覆う。
消えない硝煙のに混ざって、あの纏わりつくような金属臭がしたような気がした。

「殺さねぇと生きられねぇってのも、なかなかめんどくせぇもんだな。」
「お前の選んだ道だろう。降りるのもおまえの自由だ。」

代償は高くつくだろうがな。
そう言って孫一は体を起こしてベッドを降りた。
どうせ元親が眠れないことはわかっている。明るくなるまでこの男の底なしの闇に付き合ってやるだけの精神的余裕は孫一にはなかった。
死にたがっている元親を一晩宥め、明日の朝まで生かしておく自信が、孫一にはなかった。
床に脱ぎ散らかした洋服を着る間も、元親は指の隙間から遠い世界を眺めている。
何が見えているのかなど、もはや興味もない。

「私は帰るぞ。」
「待てよ。」
「あとの世話はせいぜい商売女にでも頼むんだな。」
「酷ェ言い草だな。」
「本心だ。」

カツ、と孫一のヒールが傷んだフローリングを踏む。
悪かったな、と元親が呟いた。
何に対しての謝罪なんだと喉元まででかかった言葉を呑み込み、気にするなとドアノブに手をかけた。

「今度なんか買ってやるから、懲りるなよ。」
「そうだな、コルトガバメントかトカレフで許してやる。」
「へいへい、両方な。」
「随分気前がいいんだな。」

一瞬笑った孫一の表情が次の言葉で戦慄したことを、違う世界を覗き込む元親が知ることはなかった。
しかしそれは、コルトガバメントやトカレフはもちろん、デザートイーグルをも遥かに凌ぐ威力で孫一の心臓を貫いていった。

「愛してるぜ、サヤカ。」
「…その名は捨てた。それに…、貴様の愛は随分と安いんだな。」

元親の耳に、扉が閉まる音は届かなかった。


End

私は貴様の安い愛に絆されるほど堕ちてはいない。




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